ジャパニーズドリームは存在しないのか?

コード決済の老舗であるオリガミペイがメルカリに買収された。ただ同然の身売りだと言われ、日本のコード決済をスタートさせたと言っていいベンチャー企業の破綻だと言っていい。僕は今回のオリガミペイの身売りに対して非常に複雑な思いであり、残念でもある。僕自身もオリガミペイの一ユーザーであり、他のペイ(PayPay、d払い、楽天ペイ)などに比べると使用頻度は少なかったが、オリガミと言う名前が少し洒落ており、スマートに支払いを済ましたいときには「オリガミペイで」と払うことがあった。

今回のオリガミペイの身売りの一番の要因は、PayPayの100億円還元キャンペーンであることは言うまでもない。そして現在もauPayが70億円と言う巨額のキャンペーンを行っている。結局、今残存している主なペイは、PayPay(ソフトバンク)、d払い(ドコモ)、楽天ペイ、そして最近スタートしたauPayと、携帯キャリア企業が中心となっている。つまり、資金力のあるところが残っているという様相だ。

このような現状に、僕は非常に危機感を感じている。つまり、技術力やアイデアではなく、資金力があるところのみが残ると言う現状にだ。オリガミペイはいち早くコード決済に参入したと言うこともあり、技術力とアイデアは言うまでもなく高かったと考えられる。しかし資金力がなかった。これは、ジャパニーズドリームが存在しないと言うことの象徴ではないか。もちろん、ソフトバンクの孫正義氏はジャパニーズドリームを体現した人物だと言える。しかしそれは二十年前までさかのぼる。現在の日本の社会は、あらゆる分野で技術力以上に資金力がものをいう社会になって来ているように思う。そしてそのことが、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に太刀打ちできない遠因になっているのではと僕は考えている。

GAFAに大きく水をあけられ焦っている日本社会は、GAFAに負けないような技術・システムを構築・養成することに躍起になっているように感じるが、結局ペイの世界で起きたように資金力でものを言わせようとしているのである。しかし当然、資金力で言えばGAFAには到底かなわない。つまり、現在の日本のシステムにおいては資金では勝てず、技術・アイデアが埋もれ活用できないという状況になっているのである。アメリカでは有望な技術を持ったベンチャー企業に大きな資金が集まるようなシステムになっていることは皆の知るところであるが、日本では結局既得権益・既得資金を持った集団のみが生き残れるという仕組みなのである。このような状況では、いつまで経っても日本が世界の先頭に立てることはないと僕は考えている。そもそも現在の日本社会にジャパニーズドリームは存在しないのだから。

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