落合博満氏が中日のルーキーの根尾選手に対して、「人の教えを真に受け取らない方が良い」と言ったという。僕はこの意見に対しては非常に同感であり、僕自身もこれまで人の意見にできるだけ頼らずに生きてきた人間だ。野球界ではこれまでコーチの教えを真剣に受け入れ、そして潰れて行った人が山ほどいると言う。これは何を意味しているのか?それは「自分の事は自分が一番良く知っている」ということだ。そして無批判に人の意見を受け入れるのではなく、自分の頭で徹底的に考えて試行錯誤することが重要だと言う事である。
それは学問に対しても同じである。小学生や中学生ならともかく、大学で学問を学び研究するのなら、人の教えなど基本的に聞かない方が良い。そもそも学問と言うものは、自分の頭で思考して身に付けられるものだ。だから人から教えてもらうと言う行為は最終手段にした方が良い。一般的には、「人の意見をよく聞け!」とよく言われるが、それは平均的レベルの人間の話であって、もし頂点を目指すのならばむしろ「人の意見を聞くな!」あるいは「人の意見に左右されるな!」と言う事である。ただしこれはあくまでも、トップを目指す人間に対してのことである。多くの人間にとっては、人の意見を聞く方がはるかにメリットが大きく効率的である。
当たり前の事だが、プロ野球選手というものは野球界の頂点に君臨する者である。さらに根尾選手はドラフト一位という、ルーキー選手の中ではトップレベルの選手である。そのような選手に対しては落合氏が言うように、人の意見は真に受けない方が良いという意見は最もである。しかしそのような意見は、「自分の頭で考えろ!」と言う事でもある。
何もわがままで人の意見を聞かない訳ではない。自分の頭で考えることを重視しているからこそ、あえて人の意見を受け付けないようにしているのである。もちろんそのような姿勢で極めることは、かなり非効率である。しかしトップを目指したり大事業を成し遂げるためには、そのように非効率的ながらも徹底的に自分の頭で考えることが必要になる。現在の世の中は「効率!効率!」と効率性重視一辺倒である。そのような社会では小者しか生まれない。ただ生きて行くだけなら、そのような生き方の方がはるかにメリットが大きいだろう。しかしそのような生き方とは全く違った価値観を持った人間も世の中にはいる。圧倒的な少数派であるが、人の意見を受け付けず徹底的に自分の頭で考える。そのような非効率の極みの先に、自分の目指す世界が存在するのである。