名著を読む。

情報は絶対に新しいものの方が良い。では、書物は古いものよりか新しいものの方が良いのか?確かに多くの場合新しいものの方が良いが、古くから残っているいわゆる名著と言われるものに限っては、古いものではあるが大きな価値を保っているのである。逆に言うと、最新の書物、最新の論文と言うものは、その多くが三年で古びてしまう。言わば上辺だけの価値しかないのである。いくら最新のものが良いと言ってもそのような薄っぺらい本を読んでも得る物はあまりないし、最先端の研究結果だと言ってもすぐに古びてしまう結果などはほとんど価値はないと言ってよい。

もし何の本を読もうかと迷ったときには、迷わず名著を手にとって読めば良い。名著と言うものは、長い間の風雨に耐えてきた頑丈なものである。だから簡単には価値は下がらない。多くの研究者は最先端の結果にこだわるが、数十年前の結果であっても現役選手として頑張っている理論は沢山ある。経済学ならマルクスの資本論は絶対に外せないはずだ。どの分野でも名著は存在する。しかも名著は現在では比較的安い文庫本で手に入ったりするものも多い。(例えば岩波文庫に収納されている膨大な名著のように。)岩波文庫一冊買って、それを一年かけてじっくりと修得するのも非常に良い選択だと思う。少なくとも自己啓発本数百冊読むよりかはよほど得る物はあるであろう。

読書と言えば、多読とか速読にこだわる人が非常に多い。しかし僕はそんなものに少しも魅力を感じないし必要もないと思っている。そもそも速読多読して知識を習得するだけなら、コンピューターにでも任せておけばよい。人間には本を読むことによって何かを独創することが求められている。

なぜ軽い本ではなく重い内容の本を読むことが必用なのか?それはその重さが質の深さに直結しているからである。一冊を数時間で読み終えるような本なんて、はっきり言って何の価値もないと思っている。数学書なら一冊を一年以上かけて読み通すことが普通である。名著を読むべきと言ったが、あるいは堅い専門書を一冊読むのも良い。少なくとも、本屋に並んでいる本を何百冊読んだとか言う勘違いな読書だけは絶対にしてはならない。

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