学問の貿易。

経済学の基本原理に、それぞれの人が得意な事に特化し、お互いの資源をやり取りした方が、自給自足するよりも利益(資源)の総量は増大すると言う原理がある。その初等的な証明は簡単な数学(算数?)で証明できる。なので、各国の経済学者は様々な意見で対立しながらも、積極的に自由貿易した方が良いと言う意見では一致している。では学問の場合はどうであろうか?

数学の事は数学者に任せ、経済学の事は経済学者に任せ、それぞれの人は自分の専門の事だけに取り組んで他分野の事には無関心で良いのか?他分野の事はその分野の専門家から無批判に知識を輸入すればよいのか?これは一見、冒頭の経済学の原理に適合するように思える。しかし少し考えると、これは間違っていることに気づく。学問の貿易とは、他分野の専門家から知識を輸入することではない。自分から積極的に他分野の事を学び、知見を広げることこそが学問の貿易と言うものである。なので数理物理学者も科学の他分野(化学や生物学、医学)、そして世界史・日本史や経済学などの知識も積極的に獲得していった方が良い。そうすることによって、専門分野の研究に対しても大局的な視点で取り組むことができるようになり大きな結果が出せるのだと僕は考えている。

数学者なら他の数学者のとの議論を重要視するであろう。しかし真に大切なのは、専門外の他分野の研究者との議論である。しかしそんなに簡単に他分野の研究者を捕まえることはできないであろう。ならば自ら他分野の専門書に取り組めばよい。そうすることによって、全ての分野の知識の総量も専門分野の知識の総量も増大することであろう。

僕は最近、あらゆる分野の学問に取り組んでいる。化学・生物学から日本史・世界史、そして経済学・経営学など多岐にわたる。もちろん苦痛に感じながらやっているのではなく、面白いから取り組んでいるのである。しかしそれには逃げの側面もある。専門の数理物理の研究が上手くいかないなという時に、それらの他分野の勉強に取り掛かることにしている。しかしそれらの事は決して無駄ではない、そう確信している。数理物理と言う軸がぶれなければ何に取り組んでも良いと強く感じている。もちろん、軸がぶれては全てが無駄になってしまうこともあるので、芯は強く持たなければならない。

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