少年Aの手記について

最近、18年前に神戸で起きた「酒鬼薔薇事件」の加害者少年Aの書いた手記が出版されて話題になっている。この出版に関しては書店の間でも是非が分かれ、店頭に並ぶことを拒否する書店も出てきている。僕の家の近くの書店では拒否の姿勢を貫き、関連記事を載せている雑誌の取り扱いまで拒否している。今日、大手の本屋に足を運んだが、その書店では少年Aの本が山積みされていた。

ビジネスとして利益を優先させるか、あるいは信念・倫理を重視し取り扱いをやめるか、書店としては悩ましいところであるが、その判断を書店に強制するものではない。その両者がいることは日本の書店業界の多様性・自主性が現れていていいことだと思う。

僕はこの少年Aの手記「絶歌」を読んだわけではないので偉そうなことは言えないが、この本の出版に関する一番の問題は、当たり前のことではあるが自分の起こした殺人事件をネタにして収益を上げていることであろう。そして遺族側からすれば、もう一度事件を煮え繰り返される苦しさがある。

僕自身、少年Aが手記を出すこと自体は否定しないし、実際にこれだけの読者がいることを見ると社会の需要にこたえているとも言える。出版社のビジネスとしてはこれほどおいしいものはない。ただ倫理的な問題はかなり大きいが。

先ほど言ったように僕はこの本を読んでいないし、これからも読むつもりはないので、この本の出版に関して判断を下すことはできないが、この出版の倫理に関しては深い問題がある割に、社会での現在の議論に関しては陳腐であるような感は否めない。

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