広中平祐とは、1970年にフィールズ賞(数学のノーベル賞と言われている)を受賞した日本の大数学者だ。広中博士の専門は代数幾何学。その広中博士のフィールズ賞受賞対象となった論文は特異点解消の大論文と言われているが、あまりにも分厚いので通称“電話帳”と呼ばれている。
僕は最近、過去の重要論文を読むことも大事だと考えているので、広中博士の特異点解消の大論文も僕の専門外ではあるが一読してみようと思い、プリントアウトした。やはり電話帳と言われているだけあって、一つの論文としては異例の200ページ越えだ!広中博士の論文は専門家にとっても難解だと言われておりどこまで僕が読み切れるかわからないが、挑戦してみようと思う。ちょうど代数幾何をマスターしたいと思っていたところなので、広中博士の論文を理解することを目指すことはちょうど良い目標になる。しかし何年かかるだろうか・・・。
広中博士の論文は大部であり、非常に重要な論文であるが、論文の良し悪しは量で決まるわけではない。たった数行の論文でも重要な論文はある。例えば今僕の手元にある「ワード・高橋恒等式」が書かれたワード博士の論文は、たった半ページだ。しかし重要な論文であることには間違いない。近年は内容よりも書いた論文の本数で評価されるきらいがあるが、僕は重要な論文が一本ある方がはるかに価値があると思う。大数学者、岡潔は、生涯で数本しか論文を書かなかったと言われているが、岡に対する評価は絶大だ。
専門の論文を読むことは普通であるが、専門外の重要論文を読むことによって得られる知見を大切にすることも非常に重要である。そのような重要論文を手当たり次第に読むことができればよいが、僕の英語力のなさもあってなかなかそうもいかない。ましてやフランス語で書かれた論文となれば、もうお手上げ状態だ。(数学の昔の論文は、フランス語で書かれたものが多々ある。)しかし論文が論文を呼ぶように、着実に手を広げていければと思っている。