物事を考える時には、いろいろなアプローチがある。例えば物理理論では現象論だとか反応論などというものがあるが、自分がどのアプローチを取るかという事は重要であるし、それでいて一つのアプローチにこだわらずに広い視点を持つことが重要である。
僕が最近重点的に取り組んでいるのは、構造論的アプローチだ。物事の構造に焦点を当てたアプローチだが、ただ構造論と言っても分野ごとに内容は大きく異なる。20世紀の数学では、フランスを中心とした数学者集団ブルバキによって構造主義というものが推し進められたが、別にブルバキを意識したものではない。結果的に重なる所はあるかもしれないが、抽象代数学などに取り組めば構造論・構造主義という考えは自然と出て来る思想である。
目の前の問題しか眼中になく場当たりに取り組んで行くのは、構造主義とは対照的なアプローチであろう。一つの問題に取り組むに当たっても、構造論的に取り組めばより深い真理が見えてくるし、問題をより広く捉えることが出来る。構造論的なアプローチを徹底的に推し進めるのは、ある意味プロとしての本流であろう。それは何も学問に対してだけではなく、スポーツでもビジネスでも同じだと思う。場当たり的に対処すれば、その時には小さな解決に成功するかもしれないが、持続的な発展は望めない。
構造論を究めるためには、物事を論理的に捉える事が不可欠である。数学はそのような場の究極である。ブルバキ主義が意識されなくなった現代においても、ブルバキ的な構造主義は脈々と続いている。社会的な事においても、構造論的な視点から見てみると物事を大局的に捉えることが出来る。今何かに取り組んでいるのならば、構造論的な視点で見て基礎から構築して行くことは長い目で見れば得るところは非常に大きいと思われる。