数学とは本質を抽出して行く作業だ!

数学というものに対する認識は人それぞれ違うと思う。しかし人それぞれ違うとは言え、それぞれが数学というものに対してどのようなものかという認識を持つことは大切だ。もしかしたら人によっては、レジで計算するために必要なものだというくらいの軽い認識かも知れない。しかしそのような認識でも何も持たないよりかははるかにましだ。

研究レベルの数学に対しても、数学者の数学に対する認識はそれぞれ違うと思う。しかしそのような違いがあるからこそ、多様性のある数学の世界というものが出来上がる。そして一人の研究者にとっても、数学というものに対する解釈の仕方は複数あるかもしれない。僕自身もいくつかの解釈を持っている。なので表題の「数学とは本質を抽出して行く作業だ」というものは、その一つと捉えてもらいたい。

数学というものに取り組む時、「本質は何か?」という問いは非常に重要である。数学の深化とは、本質を切り出していく方向へ進むことである。もちろん数学の中にも純粋数学や応用数学と言われるそれぞれ毛並みの違う分野がある。特に応用数学に関しては、純粋数学によって切り出された本質を具象化する方向へ進むものである。とは言え、数学の本質を抽出して行く作業はどのようなものでも必要不可欠な作業だ。なので、数学を「本質を抽出して行く作業」だと捉える事は的外れなものではないと思う。

近年、学問がますます実用重視になって来ているように思う。お金に結び付く応用研究に重点が置かれ、すぐには実用化されない基礎研究が軽視されている。その基礎研究の究極が数学である。しかし、応用研究というものは、基礎研究の成果の上に成り立っている。従って、現在の基礎研究軽視は将来の応用研究から出る実用化にも大きく影響してくる。もちろん企業の開発現場であればそのような事もわからない訳ではないが、教育現場での基礎学問軽視は非常に問題があるように思える。

現在の社会の中には、「役に立つものを出せ!役に立たないものはいらない!」という圧力があるように強く感じる。学校現場でもそうである。社会に直接役に立つものか、受験に利用できる事に重点が置かれているのではないだろうか?そのような社会や教育現場の短絡的な風潮に危機感を感じているのは僕だけではないはずだ。

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