ジュンク堂でいろいろと本を眺めていると、岩波文庫から「日本国憲法」という表題の新刊が出ていた。振り返ってみると、憲法と言えば学生時代に習った事ぐらいしか知らないのではと思い、ここは一冊680円出して買うかと思い、購入することにした。家に帰って改めて目次を眺めると、日本国憲法以外にも大日本帝国憲法、パリ不戦条約、ポツダム宣言、降伏文書、日米安全保障条約など盛りだくさんな内容である。ここで重要なのは、この本が単なる解説書ではなく(解説も一部に載っているが)、原文がそのまま載っていることである。物事に当たる時、まずはやさしい解説書から入る人が多いが、原文に直接当たるということは最も重要な事である。
日本国憲法ははっきり言ってそんなに長くない。もちろん憲法は、国の根幹、基本原則を表したものだから、短く強く表明することが重要であり、長々と述べることは相応しくない。日本国憲法はこのような短い文章であり、読むのにそんなに労力もいらないと思うが、そのような事に今まで一度も当たってこなかった自分が恥ずかしい。もちろん読むこと自体には労力はいらないというものの、考えて行くと非常に深い問題であり、考えて解釈をし続けても終わりがない深い文章なのだろうと思う。
この本を眺めてまず思うのは、日本にとって天皇の存在はいかに重要であるかということである。日本国憲法も大日本帝国憲法も、第一章は「天皇」である。非常に歴史が長く権威がある天皇という存在を、いかに明治の仕組みの中で、あるいは戦後の仕組みの中で位置づけるかということは、明治の日本人の、そして戦後の昭和の日本人たちの知恵が凝縮されているのではないかと強く感じる。そしてそれらの知恵は大筋の所非常に上手く行っているのではないかと強く感じる。今年の5月からは新天皇が誕生する。新天皇の存在が平和な世の中を導いてくれることを深く願う。
日本人であるならば、日本国憲法を熟知することは必須なのかもしれない。しかし実際に熟知している人は(恥ずかしながら僕も含めて)多くはないのではないかと思う。しかし日本に住んでいる日本人である限り、「知らない」では済まされないのではと強く思う。日本国憲法は決して長くはなく、読むだけならそんなに時間はいらないはずだ。少し時間がある時に気軽に手にとって眺めるだけでも、日本という国に対する理解は一層深まるに違いない。