東電を廃炉に特化した企業にすればどうか?

電力会社とは、一言で言えば電気を売って儲ける会社だ。しかし現在の東京電力の置かれた立場は複雑だ。今東電が抱えている最も大きな課題は、誰が見ても福島第一原発問題であろう。もちろん福島第一原発は廃炉にするしかないが、この原子炉の廃炉は非常に困難な作業だ。原発を作ることは今ではそんなに難しい作業ではないかもしれないが、原発を廃炉にする作業は技術的にもまだ確立されているとは言えない。さらに、震災で被害を被った福島第一原発の廃炉作業は、その何十倍もの困難が伴う。そもそも廃炉が上手くいくかどうかもわからない状況だ。

そこでだ。この東電が抱えている一番の問題である廃炉作業を、東電のメイン事業にするのはどうかと僕は思っている。東電が置かれている立場の一番の困難は、福島問題を解決しながら発電事業を行わなければならないということではないだろうか。そのような事に対して、「発電事業=ビジネス(利益)」、「廃炉作業=負債(損失)」と捉えられているかもしれないが、その廃炉作業をビジネスにしてしまうのはどうかと僕は考えている。廃炉には非常に高度な技術が必用であり、世界的にもこのような廃炉をビジネスとして行っている企業は僕は知らない。もしかしたら僕が知らないだけで、廃炉をビジネスにしている企業は海外にあるのかもしれないが、今廃炉を待っている原発は世界にたくさんあるはずだ。

今東電は、否が応でも廃炉を実行しなければならない。もし東電が廃炉技術を確立させビジネスにできると、この先数十年は非常に大きな利益を得られるのではないだろうか。そしてそこで得た利益を、福島の被災者の賠償にも回すことができる。それは東電に対しても、福島市民に対しても、そして原発のある世界各国に対しても、全ての利益になるのではないだろうか。廃炉というものをネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えていくという思考的変換が必要である。

現在、小泉進次郎氏が環境大臣になり、原発問題に大きく取り組もうとしている。父の小泉純一郎元首相は、原発ゼロを声高に発信している。進次郎氏が父の意志を継ぎ、原発ゼロを遂行するためにも、東電の廃炉ビジネス化は大きな力になるのではないだろうか。そして廃炉を負債と捉えるのではなくビジネスと捉えることは、東電社員の意欲を大きく向上させるのではないだろうか。これからは原発建設の時代ではなく、廃炉の時代だ。東電が廃炉のビジネス化に成功すれば、巨大なビジネスになるはずだ。そしてそれは回り巡って、福島の被災者のためにも大きな力になるはずだ。

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