物事にも人間にも、表層と深層がある。表層とは主に第一印象で決まることであり、真相とは時間をかけて感じられるものである。人間の奥深さ、つまり深層が大事なのは誰もが思っていることであるが、だからと言って表層が全くいらないかと言えばそうではない。車を買う時に、性能が良ければ塗装はボロボロでいいと言う人はほとんどいない。人間においても奥深さを持つということは非常に重要な事であるが、人間性という深層を深めればその余力で表層にも気を使いたいものである。
学問にもファッションにも表層と深層がある。学問とファッションにおける表層とは、流行に乗ることである。学問に対して流行があるとはなかなかイメージできない人も多いかもしれないが、学問においてもその時々の流行はある。そして流行を追い続けている研究者は非常に多い。しかし学問においてもファッションにおいても、重要なのは自分のスタイルを確立することである。流行の理論、流行のファッションと言う以前に自分のものでなければならない。
もちろん、ファッションにおいても学問においても流行を徹底的に追うというのは一つの手ではある。それに長けている人はその手を徹底的に追究すればよい。しかし意外と本質とは流行とは発想を180度転換させたところにある事が多い。その典型的な例がアインシュタインの相対性理論であろう。
表層と深層は多くの場合補完し合うものである。しかし多くの場合は深層が本質的であり表層が枝葉となる。そして流行から流行は生まれず、流行は本質から生まれる。流行を作ることは並大抵の事ではないが、深層を掘り下げることにより、次世代の本質の尻尾を掴めるのではないかと常々考えている。