袴田事件の判決で思うこと。

先日、袴田事件で死刑囚となっていた袴田巌さんの再審判決で無罪が言い渡され、検察は控訴しないことを表明した。これによって袴田巌さんの無罪判決は確定することとなった。

この事件については多くの人が意見を述べており、特に検察の証拠捏造には厳しい目を向けられているが、僕がこの事件に関連して一番核心的なのは、「犯罪に遭うことはもちろん恐ろしいことだが、何もしていない人が突然国家権力によって拘束され、時には死刑に処されることは、犯罪に遭うよりもはるかに恐ろしいことだ」と言うことだと考えている。特に今回の判決では袴田さんの無罪を言い渡すと同時に、検察の証拠捏造も認定されている。そして今回検察が控訴断念したと言うことは、検察の証拠捏造も確定したと言うことでもある。そして今回の検察のコメントでは、袴田さんの冤罪については一切謝罪されず、「袴田さんを長期間不安定な立場においてしまった」と言うことを述べている。

いやいや、そうではないだろうと多くの人は思うだろう。袴田さんの冤罪が確定したと言うことは、検察の訴えが間違っていたと言うこと。さらに厳しい言葉で言うならば、これは検察による犯罪であると言うことが認定されたと言うことでもある。ならばこれから検察の行なってきた犯罪(捏造)をはっきりと追及していかなければならない。そしてこれらの捏造に関わった者の(もちろん関係者はすでに亡くなっている可能性が高いが)責任も問わなければならない。

これまでこの事件は「袴田事件」と言われていたが、袴田さんの冤罪が確定した今では「袴田さん監禁事件」と呼ぶべきであろう。検察の証拠捏造によって袴田巌さんを数十年も拘置所の中に監禁したのである。そしてそれだけではない。袴田さんは常に死刑執行の恐怖に怯え、そして姉のひで子さんをはじめとする家族も「殺人犯の家族」という目で見られてきた。検察の誤った追及によって多くの人が苦しめられたのである。

これから検察の捏造に対してどのような追及が行われるのか?それともこれで全てが終わりとなるのか?僕には全くわからないが、証拠捏造までして一人の人間を死の直前まで追い込んだ事実は、非常に大きな罪だと僕は考えている。そして何も犯罪を犯していない人間が突然国家権力に捕らえられるということがこれから二度と起こらないように、検察に対しても厳格に追及できる仕組みを構築すべきではないだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA