進化論は、科学的思考力だけではなく、人間力も試される。

1月22日(日)、テレビで池上彰氏解説のアメリカ特集をやっていた。何気なく見ていると、話は少し宗教的な方向に。

アメリカに、ノアの方舟を模したテーマパークができたらしい。池上氏たちはそのテーマパークに潜り込み、取材を行っていた。

聖書にはこんなことが書いているらしい。

人類を含む地球上の全てのものは、6000年前に神が創造したと。そして大洪水が起こり、ノアの方舟に逃れたノア一族と動物たちだけが生き残り、洪水が収まった後、それらの子孫だけが繁栄したと。

僕はキリスト教の信者でもなんでもないので、その程度の簡単な事しか知らない。

ノアの方舟の話に基づくと、人類は神が創造したもので、ダーウィンの進化論などは全くのデタラメであるということになる。神と聖書を絶対的だと信じるキリスト教原理主義の人たちは、進化論を否定する。

池上氏らのお話は、「アメリカには進化論を否定するおかしな人がいっぱいいるんだよ」という論調であったが、僕は池上氏らの論調に関しても非常におかしく感じた。

そもそも、進化論を正確に知ろうと思えば、進化論の根幹である「自然淘汰論」を理解しないといけないし、それを掘り下げていけば、「遺伝子の突然変異」「分子遺伝学」から「統計学」まで様々な知識が必要になる。そこまで理解している人はいったいどれだけいるのであろうか?おそらく日本人でも数百人に一人くらいであろう。

しかし日本では、ほとんどの人が進化論を信じ、神の創造説をバカにする人も多い。しかしどっちもどっち、進化論を「信じて」いても、「理解」はしていない人がほとんどなのである。

ではなぜほとんどの人は進化論を信じて疑わないのか?それは進化論が常識であるから、あるいは科学的に証明されているから、という理由であろう。結局自分では何一つ考えていない人が多いのである。本気でダーウィンの理論を知りたければ、岩波文庫にも「ダーウィニズム論集」という書物があるので、それらの本をしっかりと熟読すればよい。

もっと単純に、神の創造説を信じる人と、進化論を信じる人の違いは、情報源が「聖書」か「教科書」かの違いだけなのである。

さらに言えば、科学などは「今日の常識は明日の非常識」なんてことが当たり前にある。なので「常識だから」とか、「科学的だから」などという理由では何一つ理解していないのである。

簡単なことでいいから、まずは「自分の頭で考える」ということから始めないと、「知っているだけで全く理解していない」ということになりかねない。

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