勝負の世界では、ただ一人の勝者のみが全てをつかみ取るべきだ

間もなく、リオデジャネイロオリンピックが始まる。われわれ一般人にとってはスポーツの祭典であり、テレビで楽しむくらいだが、出場するアスリートにとっては4年に一度の大舞台であり、最大・最高の勝負の舞台である。

オリンピックには上位3人にメダルが授与される。2位や3位に入って銀メダル・銅メダルを獲得して喜んでいる選手も多い。もちろん2位も3位もすごいことなのかもしれない。しかし僕はその喜びに違和感を感じる。なぜなら、勝者は1位のみだと思っているからである。2位は敗者なのである。そして勝者のみが全てを手に入れるべきなのである。銀メダルを取って喜んでいるうちは(もちろん非常にレベルの高い選手であることはわかるが)そのレベルの選手なのだということである。本当に勝ちを狙っている選手は、2位では絶対に喜ばないはずだ。

分野は変わるが、物理や数学などの学問の世界は勝負の世界ではないのかもしれない。それに単純に1位2位を付けられない。(もちろん、学校のテストの点数などのような次元の話をしているわけではない。)しかし、僕は学問の世界でも世界一の成果を出すことが重要だと考えている。あえて物理や数学の世界も勝負の世界だと考えている。だから学問の世界でも勝者のみが全てをつかみ取るべきだ。

学問の世界を含めて、オンリーワンであることが大切だと言われることが多い。しかしオンリーワンであることなどは当たり前のことであって、わざわざオンリーワンであることを強調するほどのことではない。ナンバー1はオンリー1でもある。しかしオンリー1は必ずしもナンバー1ではない。だから、ナンバー1を目指すべきなのである。ナンバー1になれば、オンリー1は必然的についてくる。

僕は現在は、数理物理の世界でも完全に敗者の方にいる。立ち位置としては底辺にいるといってよい。しかし、僕が目指しているのは学問の世界で食っていくことではない。ナンバー1の成果を出すことである。だから、まだ全然結果の出していない現在は、何一つ要求することはない。今は無でもいい。しかしナンバー1の結果を出すことに成功すれば、すべてをつかみ取ろうと思っている。

もちろん、何かを取るために研究しているのではない。数理物理の研究は生きがいであり、ライフワーク、人生におけるミッションである。そして、解決を目指しているテーマも、明確に定めている。しかし人生をかけて取り組むからには、絶対にナンバー1になるというくらいの覚悟は必要だ。

勝者は一人だけなのである。間もなく始まるオリンピックの選手も2位ではなく、「勝つ」ことを目指してほしい。

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