新幹線のブランド戦略

今、日本の新幹線が世界へ羽ばたこうとしている。しかしライバルは少なくない。日本の次に老舗のフランスTGV、ドイツのICE、そして日本の技術を基に作られた中国新幹線。コストや速さだけを単純に考えると、日本より他国の方がアドバンテージがある。しかし日本の新幹線の一番の強みは「ブランド」だ。ブランドは五年十年ではできない。新幹線のブランドは速さは言うまでもないが、大きな事故が起きていないこと、そして正確なダイヤなどのシステム面では他を圧倒している。そして地震国日本での地震対策は、地震が起きる国への輸出に大きな力になるであろう。

ところで僕も知らなかったのだが、日本の新幹線の一両の定員は80名である。それに対してフランスTGVは40名、ドイツのICEは50名だそうだ。これには理由があって、線路の幅が新幹線の方が足幅一個半ほど広いらしい。これが定員の拡大、そして安定した走行へ貢献しているみたいだ。

今、高速鉄道の輸出先で一番注目を浴びているのがアメリカだ。アメリカと言っても広いが、カリフォルニアのサンフランシスコからロサンゼルスまでの距離は東京大阪間の距離とほぼ同じだ。したがって東海道新幹線がモデルケースとしてシミュレーションしやすい。そしてもう一つ、カリフォルニアは大地震が起きる可能性が高いところでもある。こうなればもうJR東海あたりが猛烈にプッシュすることは予想されることであろう。

世界で初めて高速鉄道の開発に成功した日本、この実績は限りなく大きい。このブランドを前面に出してアピールしなければいけないが、日本はロビー活動に弱いことは広く認知されている。ロビー活動は政治家・財界人の力の見せ所である。もう良い物を作れば勝手に売れるという時代ではない。日本のロビー活動は三流であった。最近安倍首相のトップセールスなどでようやく二流になれたのかもしれない。良い品物を作らなければいけないのは言うまでもないが、その良さを相手に十分に伝え、交渉できる人材を養成し、もっと輩出しなければいけない。

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