考える対象が複雑であるとき、対象をそのまま受け入れるとどうにもならないことがよくある。その時に大切になるのが「理想化」という操作だ。
物理学は理想化の代表例とも言える。物体の運動・現象は非常に複雑であることが多い。そのような時に、運動・現象の本質的な側面だけを抽出して、不要な要素を捨て去るのである。そうすると、非常に見通しが良くなる。この様な操作を「理想化」と言う。
理想化は、何も物理学だけのものではない。多くの学問でも行われているし、身の回りの出来事を考えるときでも理想化は無意識に行われている。
物事の本質を見抜けるかどうかは、理想化できるかどうかにかかっているとも言える。常に理想化的な思考ができるようになると、見える世界も大きく変わるであろう。