月別アーカイブ: 9月 2015

共産党が野党連立を掲げる

共産党の志位委員長は19日、反安保法案を旗印に連立政権の実現を目指し、次回参院選で民主党と選挙協力をし、候補者を一本化する方向性を示唆した。共産党と言えば万年野党で、野党だからこそ何でも反対で存在感を示してきたが、共産党の参加する政権がもし誕生するとどうなるか、まともな選挙運営ができるかどうか、想像しがたい。

そもそも選挙で共産党に投票する人は、共産党がアンチ与党だから、共産党が万年野党だからと言う理由で投票する人が多い。すなわち共産党支持者も共産党が政権を取ることを望んでいない節がある。

今回の安保法制反対は政権交代のきっかけになりうるのか。5年前ならなっていたかもしれない。そして約5年前には実際に自民政権交代が実現し、民主党政権が誕生した。しかしそこで見せられたものは散々たる光景だった。政権運営能力のない政党が政権を取るとこうなるという現実を見せられた。

政権を運営するには二つの要素が必要だ。

1)政党が政権運営能力があるか。

2)強いリーダーシップで政権をまとめられる人物がいるか。

この二つを備えているのは残念ながら自民党だけである。共産党・民主党をはじめとする他の党はこの二つとも当てはまらない。唯一、2)のリーダーシップという点では、大阪維新の橋下徹氏が当てはまるかもしれない。したがって政権交代をし、連立政権を樹立させる青写真としては、橋下氏をトップ(首相)とし、多数の政党をまとめ上げるというのが現実的である。そうなれば国民も面白いものを見られる(かもしれない)。

少なくとも既存政党の寄せ集めでは政権は完全に成り立たない。野党が政権を目指すならそれを熟知して行動を起こさなければならない。

侮ってはいけないチリ地震津波

17日早朝、チリ沿岸でマグニチュード8.3の大地震が起こり、18日早朝、日本でも津波が観測された。チリと言えば日本から地球の裏側にあると言っていいほど遠く離れているが、なぜこのような離れたところの地震による津波が日本まで来るのだろうと疑問に思う人が多くいるかもしれない。さらに太平洋のど真ん中にあるハワイはもっと大きな津波が来るのではと思うかもしれない。しかし実際はハワイでの津波の高さは日本の半分ほどである。それはなぜか。

ポイントはチリが日本の裏側にあるということだ。チリで起きた津波はそこをを中心にして四方八方に散っていく。しかし地球儀を思い出すとわかるように、地球の裏側から四方に直線をのばしてほしい。一度は遠く離れるが、地球の裏側でこの四本の直線は出会うことになることがわかる。チリ地震津波も同じだ、チリからいったん離れた津波は地球の裏側の日本でまた合わさって再び高くなるのである。

約半世紀ほど前に起きたチリ地震(これはマグニチュード9.5という巨大なものであった)の時は、日本にも6メートルもの津波をもたらし、日本の太平洋沿岸に大きな被害をもたらした。この時もハワイでの高さは約半分である。

この様に地球の裏側での地震は決して侮ってはいけない。地球の裏側だから危険なのである。今回の津波は大きくはなかったが、日本は常に津波の危険性をはらんでいることを忘れてはいけない。

錦織圭選手の功績、日本人に対してテニスを身近なものにしてくれた

つい最近あったテニスの全米オープン、錦織選手は第4シードという上位シードで臨んだものの、1回戦で敗れるという非常に残念な結果に終わってしまった。それによって世界ランクも4位から6位に落ちてしまった。ランキングポイントは過去一年間に獲得されたポイントの合計で算出されるので、全米の獲得ポイントなしは1年間尾を引くことになる。

とはいえ、最近の錦織選手の活躍により日本人はテニスを非常に身近なものに感じることができた。そういう僕も錦織選手が活躍するまでテニスのルールを正確に知らず、錦織選手の活躍を通じてテニスの何たるかがわかった気がする。

今や錦織選手は日本人プロスポーツ選手として、大リーグの田中投手に次ぐ大選手になってしまった。正直、今までテニスが世界でこんなにもポピュラーなスポーツだとは知らなかった。その一例として、先日の全米オープンの優勝賞金はゴルフの全米マスターズよりも高額なのである。

10年前ほど、日本人にも偉大なテニスプレーヤーがいた。今再び世界挑戦しているクルム伊達公子選手だ。伊達選手は一時は世界ランク4位まで上り詰め、当時世界ランク1位だったグラフ選手も破った実力派だ。そして今、錦織選手も最高4位まで上り詰め、去年の全米では世界ランク1位のジョコビッチ選手を倒した。

伊達選手は本当に偉大な選手だったのは間違いないが、その当時、今の錦織選手のような盛り上がりとまではいかなかったような気がする。当たり前のことだがやはり男子と女子では全く格が違うのであろう。何のスポーツか忘れたが、男子と女子では全く違うスポーツなのだと発言したスポーツ選手がいたことを覚えている。確かに100メートル最強のボルト選手はだれでも知っているが、女子の100メートル最強選手は恥ずかしながら知らない。

テニスの世界ツアーには全米・全仏・全英(ウィンブルドン)・全豪の4大大会があるのは知っていたが、年末にツアーファイナルという世界ランキング上位8人しか出られない非常に格式の高い試合があることは錦織選手が出場して初めて知った。ツアーファイナルの格式の高さはテレビ中継を見ても一目でわかる。室内でライトアップされ、試合と言うよりトップ選手によるテニスショーと言うような雰囲気が伝わってきた。

現在6位までランクを下げたが、また今年度末に錦織選手がファイナルに出場し、幻想的なテニスショーを見せてくれることを非常に楽しみにしている。

第一列島線と沖縄

現在、沖縄の米軍基地問題が過熱しているが、この問題に悩む日本政府をよそに笑っている国がある。中国だ。中国は自国に面する太平洋側にラインを引いている。第一列島線と第二列島線と言われるものだ。

第一列島線は九州から沖縄・台湾・フィリピンにつながるライン、第二列島線は伊豆諸島から小笠原諸島・グアム・サイパンにつながるラインだ。つまり沖縄はこの中国が独自に引いている第一列島線の中心部に当たる。

中国は現在、第一列島線の内側を中国勢力下に置き、米軍の侵入を絶対阻止しようとしている。それに対して日・米・台湾・フィリピンはその動きに断固対抗している。これらのことからわかるように、中国にとって沖縄は戦略上最も重要な位置にあり、隙あらば狙おうとしている。

今、普天間基地問題・辺野古移設問題で日本国内は揺れているが、この問題はもとはと言えば民主党政権下に当時の鳩山首相が基地移設問題を「最低でも県外」と放言したことに始まる。沖縄住民の負担を考慮したと言えば聞こえはいいが、裏を返せば中国に対する地政学的な問題を全く理解していなかったということだ。今中国は攻めてこないから、これからも中国が攻めてくることはありえないだろうと思っていたのであろう。ましてや沖縄駐留米軍の抑止力など頭の片隅にもなかったと思われる。そして現在の鳩山氏と言えば中国と大の仲良しで、中国に赴いては日本を非難している。この様な人物が日本国首相を務めていたことにぞっとする。

中国が第一列島線を掲げている、すなわち第一列島線の内側、そして第一列島線上に位置する沖縄などの島々は中国の意識としては中国の領土だと思っている。そして中国の野望は第二列島線までを支配することだ。第二列島線まで進出するには米軍との衝突は避けられない。そしてそのど真ん中に日本列島は存在する。今、集団的自衛権が問題になっているが、こうなれば集団的自衛権を出すまでもなく、従来の個別的自衛権で対応できるレベルだ。集団的自衛権を認めないと言うことは、大げさに言えば日本はいつでも中国に明け渡しますよと言うに等しい。

もちろん、集団的自衛権も個別的自衛権も作動させるような事案が起こらないことを願うばかりだ。しかしそのためには中国の覇権意識を理解し、駐留米軍、そして自衛隊の抑止力をしっかり認識することが必要だ。

民主党歴代党首も集団的自衛権を認めていた?

14日の参院平和安全法制特別委員会で、民主党の歴代党首が過去に集団的自衛権を認めていたことを、自民党の佐藤氏が暴いた(msn:産経新聞)。佐藤氏によると、過去に民主党の岡田氏・野田氏の両元党首が集団的自衛権が必要だという趣旨のことを雑誌などで発言していたことを指摘した。やはり政権与党としては集団的自衛権は避けて通れない問題なのかもしれない。この発言が本当ならば、現在の民主党の安保法案反対の攻勢は、集団的自衛権が問題だからではなく、単に与党の出した法案だから安易に反対しているだけということになる。

僕は今までブログで次の二点を主張してきた。

1)安保法案に関しては、国防上・国際貢献上必要なものであって、決して戦争法案などと呼ばれるものではない。

2)ただしこの安保法案の成立へのプロセスは明らかにおかしく、改憲という手続きを取らずに解釈変更で無理やり乗り切ろうという姿勢は、民主主義国家政府として明らかに間違っている。

つまり簡単に言えば、

1)の事柄は安倍首相に賛同する。

しかし

2)の法案成立の手法に関しては安倍首相に大反対である。

しかしこのような民主党党首の政策一貫性の矛盾は、与党も経験した責任野党として明らかに失格である。とはいえ現在民主党は野党第一党である。政府自民党に一番大きな攻撃を加えられるのは民主党だ。今回のような一貫性のなさにはあきれ返るが、安倍政権のおかしいところは徹底的に追及してもらいたいところである。

 

NHK「サイバーセキュリティーのトップスペシャリスト・名和利男氏」

9月14日(月)、NHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」で、サイバーセキュリティーのトップスペシャリストの名和利男氏という方を取り上げられていた。名和氏の仕事の様子を見ていると、スペシャリストの中のスペシャリスト、まさしくトップスペシャリストと呼ぶのにふさわしい男だ。

名和氏の「顧客」は主に省庁などの国の根幹にかかわる部分だ。省庁は常に海外のハッカーから狙われている。名和氏はそれらの対策を施し、攻撃者の身元を暴いていく。

ハッカーには悪意のあるブラックハッカーと、それらから身を守るホワイトハッカーに大きく分類される。しかし名和氏の仕事を見ていると、そのようなブラックだとかホワイトだというような画一的な分類に当てはめることはできないと感じた。自国に関してはホワイトでも、攻撃者に対してはブラックととらえられるだろう。名和氏は守るだけではない、攻撃者の先手を打つためにも攻撃者を先回りして攻撃を仕掛けることがある。名和氏はハッカーと言う言葉では括りきれない非常に高度で多様な仕事を仕掛ける。

もちろん攻撃者にとって名和氏は非常に厄介な存在だろう。名和氏自身が狙われる可能性も非常に高い。そのために自身の存在を非常に用心して隠している。それはサイバー空間上だけでなく、日常生活、あるいは外での行動もあえて遠回りするなど慎重に行っている。

それから余談だが、名和氏の使用していたパソコンはPanasonicのレッツノート、高度な信頼性を必要とする仕事をしている人のパソコンは圧倒的にレッツノートが多い。

今回の番組では名和氏をメインに取り上げられていたが、名和氏の仕事内容の関係上、非常にシークレットにしなければならないことが多く、こんなに大々的に取り上げていいものか、視聴している僕の方が心配になった。存在は大々的に明かせないが、いまのネット社会において名和氏は日本の根幹を握っている非常に重要な人物であることには間違いない。

子供の夜の徘徊・大阪男女中学生殺人事件から

ここ一か月ほどの大きなニュースと言えば、大阪での男女中学生殺人事件だろう。この事件に関しては容疑者に対しての非難はもちろん大きいが、それと同時に保護者の責任についての声も小さくはない。なぜ深夜に中学一年生の男女が二人だけで徘徊していたのか、それを野放しにしていた親の責任が問われている。

もちろん親は夜に歩き回るくらいなら大丈夫と判断したのだろう。日本は世界でもまれにみる治安安全大国である。夜中に子供が歩き回れる国など、世界広しと言えども日本だけかもしれない。こんなことはアメリカでは絶対に考えられないことだ。夜中に子供が安全に歩き回れる、このような日本の治安は誇れるものかもしれない。しかし今回はこのような痛ましい事件が起こった。今一度日本の治安に関して考え直す時かもしれない。

日本人がアメリカで失敗する事例の一つに、車の中に子供一人置いて、ちょっと買い物をしてくるというのがある。この行為はアメリカでは逮捕される。アメリカでは家で子供一人にするのも違法だ。アメリカ映画などでベビーシッターがよく出てくるのはそのためである。日本の常識はアメリカの非常識なのである。

今回の事件で親を責めるのは簡単だ。しかし親の事情を考えると限界もあることだろう。今回の事件を事件当事者・被害者家族だけの問題として片づけるのではなく、日本社会全体の問題、大げさに言えば日本全体の治安の問題として見直すべきではないかと思う。これをきっかけにしてマスメディア・政治家・そして一般市民も他人事としてではなく、自分たちの問題として大いに議論しなければならない。

「想定外」を想定する

最近何かと「想定外」なことが多い、つい先日の鬼怒川決壊災害も想定災害マップはあったものの、住民、そして役所の人たちにとっては想定外であったようだ。実際役人たちは災害対策本部を常総市役所に設置したが、その後その常総市役所自体が浸水被害を受け、機能不全に陥った。いかに災害を想定していなかったかということの証拠であろう。気候温暖化などもあり気象災害、そして気候とは関係ないが地震・津波災害など想定外は常識となり、「想定外を想定する」時代になったのではないかと思う。

想定外を想定するという発想は僕が勝手に考えたことで、その言葉の定義は全く定まっていないが、これからこの「想定外の想定」という言葉の定義、そしてどういう試みを想定外の想定とみなすか、これからの災害対策として考えていくのはどうかと思う。

想定外は言葉通り、想定していないことだ。つまり想定外の想定とは、想定外のことが起こった場合にいかにして迅速に対応するかということに尽きるのではないかと思う。そのためには想定外災害に対しての指揮系統を構築する必要がある。つまり見えないものに対する対策だ。もちろん現在でも想定外のことが起きてもそれなりの対処はできていると思う。しかし東日本大震災の例のように、想定外は場合によっては桁違いな被害をもたらす。それを防ぐために必要なことのうちの一つが「固定観念にとらわれない」と言うことだ。東日本大震災の時は、マグニチュード8クラスの地震は起きてもマグニチュード9クラスの地震は絶対に起きないという固定観念が行政にも住民にもあった。しかし調べてみると、約千年前に起きた貞観地震は東日本大震災と同規模の地震だったことがわかった。しかしこのことが言われたのが大震災後のことである。

想定外な事には大概前例が存在しない。だからこそ想定外が起きた場合には現実をいち早く確認し、現実に応じた災害対応を前例・固定観念にとらわれずに実行することが必要だ。

レクサスの浮上するスケボー

最近レクサスのCMで登場している、空飛ぶ スケボーをご存じだろうか?この空飛ぶスケボー、コンピューターグラフィック(CG)などではなく、本当に宙に浮いているのだ。正式な名前は「ホバークラフト」と言うらしいが、液体窒素で超伝導体を作り、磁気浮上技術で地面を、あるいは海面上を滑るように動いている。リニアモーターカーに近い仕組みとでも言えばいいだろうか。

物理をやっている僕も超伝導体(物性分野)には今一つ詳しくないので、原理を理論的に厳密に理解することはできないが、この未来のにおいがプンプンする乗り物にはかなり興味をそそられる。これはレクサスの研究チームが開発したもので、さすが日本一の巨大企業の技術力だと感心させられる。

このホバークラフトは本来の事業とは全くと言っていいほど関係なく、このようなことに取り組める技術的・金銭的な余裕は、日本の産業・技術のさらなる発展を促すことになるだろう。将来の革新的ブレークスルーはこのような研究から生まれてくるものだ。

トヨタは世界に先駆けて燃料電池自動車の実用化にも成功した。本来の事業の発展にも抜かりがない。もちろん全ての企業がこのホバークラフトのような未来的研究に取り組めるわけではないが、いま日本の景気が上向きになる中、このような企業が少しでも増えると、日本の産業、そして技術科学界も非常に面白い、エキサイティングな世界になるであろう。

iPod操作ボタン訴訟でアップル社が敗訴

高裁で、iPod操作ボタン訴訟があり、アップル社が敗訴した。訴えていたのは日本の発明家で、損害賠償100億円を要求していたが、今回の訴訟では高裁は約3億円の支払いを命じた。3億円も巨額な金額だが、アップル社にとっては微々たるものだ。訴えた発明家も、要求の100億円には遠く及ばないものの、巨大企業のアップルに勝訴したことで納得したようだ。

このiPodの操作ボタンは、一昔流行した円形のグルグル回すタイプのもので、当時の僕もよくもこんなものを発明したものだと感心したものだ。てっきりアップルが開発したのかと思いきや、日本の発明家が発明していたとはびっくりである。

この訴訟を見て思い出したことがある。数年前の青色発光ダイオードの中村修二さんの訴訟だ。中村氏は去年のノーベル物理学賞日本人トリプル受賞の一人で、同時に受賞した赤崎氏・天野氏の基礎研究に基づいて中村氏が青色発光ダイオードの量産化に成功した。

中村氏の訴訟は元所属の日亜化学を訴えたものだが、そこでの判決は中村氏は600億円を取得する価値があるというものだった。これは発明者に対する画期的な判決だったが、一つ気がかりなのはこの手の発明対価が最終工程の開発者のみに権利が与えられることである。青色発光ダイオードについていえば、量産化に成功した、すなわち最終工程に関わった中村氏に発明対価の権利があり、その成功のもととなった赤崎氏らの基礎研究には何の見返りもない。

もともと基礎研究はお金にならないものがほとんど、いや全部と言っても言い過ぎではないくらいだが、この基礎研究組にもそれなりの報酬を与えるような仕組みはできないものかと思ってしまう。基礎研究は本当に研究が好きでないとやっていられない。また確固たる強い意志も必要だ。この様な基礎研究者に必要な条件は日本人気質に向いているともいえ、それが最近のノーベル賞日本人受賞ラッシュにつながっているのかもしれない。

しかし基礎研究は応用研究・開発の源であることは言うまでもない。基礎研究者の処遇をおろそかにすると、技術立国日本の立場も将来的に危ういものにしてしまうかもしれない。