月別アーカイブ: 11月 2015

茨城県教育委員の長谷川智恵子氏が障がい者差別的否定的発言

茨城県教育委員の長谷川智恵子氏が、県の総合教育会議で、「妊娠初期にもっと障害がわかるようにできないか」、「茨城県では減らしていけるようになったらいい」というような発言をしたという。最近はメディアで政治家などの発言に対して上げ足を取るような報道が多いが、今回の長谷川氏の発言はそのようなレベルの話ではない。障がい者に対する行政の根本にかかわる問題である。

障がい者の中には障がいに苦しんでいる人はもちろん多い。障がいがないに越したことはない。しかしそれと、生まれてくる障がい者を減らすというのは別次元の話だ。長谷川氏の発言は、妊娠中に判明した障がい児は堕胎して生まれてこないようにすればよいという意味にとらえられる。これは明らかに障がい者の人権の完全否定であり、命の選別である。障がい者には生きる価値はないと言っているも同然である。障がい者教育に関わる、しかもそのトップにあたる人物がこのような認識をしていることには唖然としてしまう。

僕が思うには、障がい者に対して(過度に)優遇などの特別扱いするのもそれはそれでおかしいと感じている。一番大切なのは、障がい者と健常者を同レベルで見ることである。健常者ができる事でも障がい者にはできないこともあるだろう。そこでできないから特別扱いするのではなく、できないことはできないと認めることが大事だと思う。そして障がい者は障がいがあってもできることをできる範囲でやればいいのである。健常者であってもできないことはいっぱいあるのだから、障がい者ができないことは特別な事でもなんでもない。

障がい者を特別扱いするのではなく、健常者と同じレベルで評価することは障がい者の尊厳を尊重することでもあり、そのようにできる社会が本当に障がい者を受け入れることができる社会なのではないだろうか。「障がい者に優しい社会」と言っているうちは、まだまだ障がい者後進社会なのである。もちろん障がい者に優しいことはいいことではあると思う。しかしそれを口に出して強調しているうちはまだまだなのではないかと思う次第である。

テロはパリだけではない

とある記事を見ていたら、「アラブでは毎日のようにテロが起こって死者が出ているのに、なぜパリだけが注目浴びるのか」という記事が載っていた。確かにおかしな話だ。もちろん理由がないわけではないが、おかしい部分の方が大きいだろう。

世界で人種を超えて皆平等だと常日頃叫んでいても、テロのような緊急事態が起きると人間は本音が出るのかもしれない。やはり欧米人の心のどこかで白人至上主義、あるいは欧米至上主義みたいな思いがあって、アラブで起きていることはどこか遠い出来事のように思っているのかもしれない。また、欧米人の命よりアラブ人の命を軽視しているのかもしれない。

欧米による空爆ではよく誤爆が起こる。これなどはイスラムの人にとってみれば欧米によるテロみたいなものである。しかし誤爆を起こした張本人たちは「間違えました、ごめんなさい」で済むと思っている。

やはり真の平等はまだまだ遠い道のりなのか。アメリカでオバマ氏という黒人大統領が誕生して全人種平等の概念は完全に定着したものと思われたが、今回のパリのテロでそれはまだ完全に成し遂げられていないことが露呈したのかもしれない。

中国、南シナ海埋め立て完了か

17日、中国外務省の高官が南シナ海・スプラトリー諸島の埋め立てを完了したと発言したようだ。現在、南シナ海は中国の実効支配にアメリカが猛反発し、米の「南シナ海航行の自由作戦」によって何とか食い止めている状況だ。

中国は、「太平洋には米中の二国が支配するだけの広大な領域がある」との見解を示している。しかしこの南シナ海問題を見ていてもわかるように、中国の太平洋支配が始まれば、それは中国の世界への暴挙の始まりである。

現在の中国は、共産党一党支配、そして自由経済圏化という相反する二つのシステムが同居している。この二つは果たして永遠に共存可能なのだろうか。中国共産党は経済の自由化を進める一方、情報の検閲・制限を断行している。しかし経済自由化によって情報の自由化も進むことは容易に推測される。

経済の自由化が中国の国力を上げることは明白だ。しかしこれと共産党強化とはつながらない。むしろ共産党存続の危機へと向かっている。それに対する危機感は、習近平ら国家首脳による反首脳派に対する弾圧へと向かわせている。現在の弾圧は共産党・習体制の強化につながるという論調が多いが、もしかしたらこれは共産党体制の崩壊への始まりなのかもしれない。

大阪維新・橋下徹の街頭演説を聞いてきた

11月16日、大阪・梅田に行くと、阪急メンズ前で大阪維新の党・橋下徹氏の街頭演説があるというので、興味もあり、聞くことにした。

橋下氏の政治手腕は強引ではあるが実行力があり、多くの市民が認めるところである。そして橋下氏と言えばパフォーマーでもある。演説においてもパフォーマンスは絶妙で、聞く人を引きずり込ませる。

メディアというものは政治家に対して功よりネガティブなことを取り上げがちであるが、やはり生で政治家の話を聞くと、(もちろん本人の功を強調するのはやむ負えないが)、メディアを通してだけでは見えなかったものがいろいろ見えてくるものである。

僕が聞いた街頭演説は、大阪市長選挙・府知事選挙の応援演説であったが、橋下氏の良く言えば妥協のない、悪く言えば強引な橋下政治の成果、そしてこれからの展望がいろいろ聞けてなかなか面白い演説であった。

一度は政界からの引退を表明したが、今日の橋下氏をみていると、とても引退するようには思えない。99%の確率で再び政界の表舞台へ登場するであろう。

これからも当分の間は橋下氏の聖域なき為政が見られそうである。

フランス・TGV事故について

フランス同時多発テロが起きた14日、同じフランスで高速鉄道TGVの事故が起きた。本来ならこのニュース自体が大事故になるレベルだが、同時多発テロという桁違いの大事件が起きたために、TGV事故はあまり大きく報じられていない。

事故のニュースを聞いたとき、テロとの関連を疑った者も多いとは思うが、どうやらTGV事故はテロとは関係なく、スピードの出しすぎが原因とみられている。

TGVは世界的に日本の新幹線に次ぐ歴史があり、高速鉄道の草分けである。しかし新幹線とTGVではおかれている環境が全く違う。日本で初めて誕生した東海道新幹線は、人口密集地を通り、山を避けるためカーブも多く、ただ単にスピードを出せばいいというものではなかった。むしろスピードよりも環境問題の方が圧倒的に困難な問題であった。

それに対してTGVは、多くの路線が田園地帯を走り、騒音問題とは無関係な所が多く、また直線が多いため、スピードに関しては出せるだけ出そうというスタンスだ。鉄道の最高スピード記録はTGVの時速574キロで、現在日本で開発中のリニア新幹線とほぼ同じレベルだ。

このようにTGVはスピードを出すことにまい進していたが、それ以外の困難要因が少ないからかスピードを出すことに(新幹線と比べて)無頓着だったのかもしれない。

今回の事故は試験運転中であり、10人の死者であったが、営業運転であったら桁違いの被害になったところだ。

2015年11月14日はフランスにとって悪夢の日となった。しかしフランスの国力はあらゆる面でおいて世界トップレベルだ。今回のテロによる安全保障対策と、TGVの安全対策、この両者において、今回の二つの出来事をきっかけにしてフランスは再び信頼性を取り戻すに違いない。

なぜフランス同時多発テロが起きたのか

パリで13日(日本時間14日未明)、同時多発テロが起きた。現在確認されているだけで127人の死亡が明らかになっている。現場の状況から死者・負傷者の数は増えると思われる。

まずはテロで亡くなられた多くの方々への哀悼の意を表したい。

そもそも今回のテロはなぜフランス・パリで起きたのか。その理由として、フランス軍によるISなどシリアへの空爆への報復だと言われている。しかし僕は以前起きた、風刺週刊誌、シャルリー・エブドへの銃撃事件が非常に関係しているのではないかと思う。シャルリー・エブドはイスラムの預言者ムハンマドを侮辱するような風刺を行った。これに反するイスラム勢力が銃撃を行った。

西側諸国はこの風刺に対して言論の自由を主張し擁護している。しかしこれは西側諸国の自国の都合しか考えていない主張ではないかと思う。もちろん風刺をすることは違法ではない。しかしもしキリストが侮辱されたらヨーロッパ国民はどう思うだろうか。おそらく自分たちが侮辱されたものととらえるだろう。

世界秩序は欧米の都合だけで動いているのではない。他国には他国の都合・文化がある。しかし欧米(シャルリー・エブド)は他国の文化を無視したも同然のことをしたのだ。

もちろんそれに対抗する手段として、銃撃やテロをすることは決して許されない。テロと断固戦うことは間違っていないと思う。しかし欧米が他国の文化を軽視し侮辱し続ける限り、今回のフランスのようなテロはなくならないのではないかと思う。

ISはどうしようもない奴らで、理屈が通じない奴らであろう。しかしテロを防ぐ手段として厳重に警戒するだけでは根本的な防衛はできないだろう。他国の文化を尊重することが一番の対策になるのではないだろうか。

他文化を排除するのは欧米の思想にも反するはずだ。言論・風刺の自由を擁護するなら、他国の他文化も(モラルに反しない限り)尊重すべきである。

少年法をめぐって

最近、少年法、つまり19歳以下の少年少女が犯罪を犯しても罪が問われないというこの法律についての是非が問われている。この問題のきっかけになったのは、最近の少年少女犯罪、特に名古屋大学女子学生(当時19歳)による殺人事件と、「サカキバラ」事件の少年Aについての動向であろう。

名大女子学生による殺人事件では、犯行後、犯人の女子学生がツイッターで「ついにやった。少年法マンセー(万歳)」と書き込んだという。すなわち少年法を盾にして罪が問われないことを計算して行われた計画的犯罪であると言える。まさしく少年法の趣旨が裏目に出た形だ。

そしてサカキバラ少年Aでは、被害者を無視した手記の出版、そしてホームページの立ち上げが問題視されている。

少年法の趣旨は、19歳未満の少年少女による犯罪では罪を問うのではなく、教育による更生をもって社会復帰を助けるという、いわば加害者保護法である。そしてそれには教育によって必ず更生できるという前提がある。少年Aの場合は、手記・ホームページ共に被害者感情を逆なでするものではあるが、再犯を犯した訳ではなく、少年法が効果がなかったと判断するのは早計であろう。

しかし、名大女子学生事件では、少年法がまさに「悪用」されたとしか言いようがなく、少年法の是非が非常に議論になるところであろう。

20歳を境目に天と地ほど変わる少年法にはもちろん問題は山積であるが、その解決の一つとして少年法の柔軟な適用が考えられるだろう。20歳で一様に分けるのではなく、特に18歳・19歳あたりの犯罪者に対しては少年法を適用するかどうかケースバイケースにするのである。名大女子学生事件の動機を見ると、そうせざる負えないだろう。ただしその判断を誰がどうやって判断するか、もちろん裁判官が判断するのであろうが、難しい問題であろう。

少年法は選挙権と連動している。選挙権が18歳以上になれば少年法適用も18歳未満になるであろう。選挙権は大人であることを示すものである。選挙権年齢が議論されている現在、少年法も合わせて国民全体を巻き込んだ議論が望まれる。

2位じゃダメなんですか?

おなじみになった、民主党政権時の事業仕分けでの蓮舫議員の言葉。この発言のおかげで、科学は1位ではないといけないこと、そしてオリジナリティの重要性が広く国民に知れ渡った。そういう意味では蓮舫議員の発言は非常に重要であったと言える。

それにしてもこの発言のきっかけとなったスーパーコンピューター「京」、このコンピューターの維持費に年間130億円かかっているという。予算というものは無尽蔵にあるわけではない。ある研究に予算をつぎ込むと、他の研究予算が削られるわけだ。科学は1番でないといけないが、ただお金をつぎ込めばよい研究結果が出る訳ではない。そういう意味では予算の効率的な使い方を考えなければいけない。

もしかしたら、京コンピューターは極限まで効率を考えて、それでも130億円が必要なのかもしれない。しかし現在の京の利用用途は学術研究が主で、民間にはあまり活用されていないという。積極的に民間に貸し出し、使用料を上げることもこれからの課題であろう。

京は計算能力では今はもう1位ではない。しかしコンピューターの評価方法はいろいろな尺度がある。エネルギー効率だとか、あるいはコストで測るということもあるかもしれない。これらの多様な尺度で測った時、総合的に見て優れているということをこれからは目指すべきかもしれない。

MRJ、初試験飛行に成功

11月11日、三菱重工・三菱航空機の旅客ジェット機MRJ(三菱リージョナルジェット)の初試験飛行に成功した。今までは陸上での試験走行が続いていたが、ようやく空に舞い上がった。今回の成功は国家プロジェクトとして、国産ロケットに次ぐ大きな前進となった。

ドラマ「下町ロケット」では、ロケット部品に対する高度な精度を要する技術が描かれているが、それはジェット機でも同じだ。空を飛ぶものは、わずかな欠陥が墜落という大事故につながってしまう。特に飛行機の場合は一つの事故が数百人の命に関わるとあって、認可を出す省庁も数年、あるいはそれ以上の年月をかけて慎重に慎重を期して審査を行う。

航空機の開発は一つの企業だけで完結できるものではない。MRJは三菱(ブランド)の製品だが、部品などを含めるとその産業のすそ野は広く、多くの中小企業が関わっている。ある部品は台湾で調達する予定であったが、台湾企業は根を上げ、結局日本の小企業が受け持つことになったという。

日本の中小企業が支える技術の精度は世界と比べても数段優れている。今までMRJの計画は何度もの延期を繰り返してきた。それによって失った信頼も小さくないであろう。しかしそれらの延期は信頼性を高めるための延期であったと思われる。2年後、機体が航空会社に納入され運行されたとき、MRJの信頼は不動のものへと変わることを願う。

MRJ(三菱リージョナルジェット)、いよいよ初飛行

11月11日、つまり今日、MRJ(三菱リージョナルジェット)が初飛行することが決まった。今まで5度の延期を経て、待望の飛行試験だ。県営名古屋空港から空へと飛び立つことになる。

MRJは三菱重工業・三菱航空機にとって、これから事業の根幹になるであろう最重要プロジェクトだ。現在、三菱重工の事業の核の一つとなっているロケット事業に続く航空宇宙産業で、失敗は三菱の威信にかけても絶対に許されない。

ロケット事業に関しては、現在テレビドラマ「下町ロケット」で取り上げられており、ドラマの中では帝国重工業という社名で中小企業の佃製作所とのやり取りが行われ、白熱している。

ところで今回の初飛行では、一般客の飛行場の立ち入りは、展望デッキも含めて一切禁止されるという。広く公開すればアピールの場として非常に影響力があると思うのだが、安全を期してということだろうか。それとも三菱側の自信が100%ではないということだろうか。とにかく市民にとっては残念である。

今回の日本初の純国産中型ジェット機の飛行は日本の念願でもある。小型ジェット機のホンダ、中型旅客ジェット機の三菱と、これから日本の航空産業の両翼を担い、成功することを願うばかりである。