GIGAスクール構想で忘れてはいけないこと。

現在全国の小中学校で、GIGAスクール構想と言うものが進められている。ここで言うGIGAとは我々が日常的に使うギガ(バイト)の事ではなく、Global and Innovation Gateway for All、直訳すると「全ての人にグローバルで革新的な入り口を」と言う意味である。簡単に言うと、児童学生に一人一台コンピューターを与えて、情報技術を身に付けさせようと言うものである。この構想は2019年から5年間かけて遂行される予定であったものだが、新型コロナの影響があって急速に前倒しされ実行されている。

僕自身この構想に関わっているわけではないので特に詳しいわけではないが、ただこの構想に限らず学校での情報技術教育を行う上で忘れてはならないことが一つあると強く考えているので、そのことを指摘したいと思いこの記事を書くことにした。そのこととは、「情報技術をブラックボックスのまま扱わない」と言う事である。多くの人達は、パソコンやスマホを日常的に当たり前のように使っているが、ではその自分が使っているパソコン・スマホの仕組みをどれだけ理解して使用しているだろうか?おそらく多の人が、仕組みを知らず操作の仕方だけをマスターして使っていることだと思う。もちろんそれらの仕組みを全て知ることは(あまりにも複雑すぎて)不可能であるが、しかし最低限の事くらいは知る必要があるのではないだろうか?そして最低限の事を知った次は、さらに1%でも詳しく理解していく必要がある。それはなぜか?情報技術を発展的に利用あるいは開発していくためには、単に操作方法だけではなくブラックボックスの中身を少しでも詳しく知る必要があるからだ。

もちろん操作方法を知りそれらを使いこなせるだけでもかなりの事が出来るようになる。しかしそれらの事は、学校の教師が教えるよりも、自分で使いこなしたり友達同士で教えあったりする方が圧倒的に習得が早い。なので教師が教えるべきことはむしろそのブラックボックスの中身的な事ではないだろうか?プログラミングももちろんその中に入るが、しかし極論を言えばプログラミングだってさらに根本的なコンピューターの仕組みの下に成り立っている。ソフトだけでなくハードを理解することも必要だ。しかし現実はおそらくそれらすべてを教育できる教師はいないだろう。なのでコンピューターの部門ごとに教師に専門を作らせるのも良いと思う。たとえばプログラミングを担当する教師、そしてネットワーク担当、アーキテクチャー担当など、通常の教科のように分担すればよい。コンピューターとはそれだけ深く複雑なものである。

僕自身、学校でコンピューター教育など全く受けておらず、学生時代はTeXと言う論文執筆ソフトを利用したくらいだ。なので今は少しでも詳しく情報技術の知識を身に付けようと勉強している。現在はAIが徐々に浸透してきているので、それらの基になっているPythonと言うプログラミング言語を習得するのも重要かもしれない。今ではPythonはAIだけでなく、これまでC言語が担っていたプログラミング教育の主流になりつつあるので、これからはPython一つであらゆることに応用できるかもしれない。そしてもう一つ忘れてはいけないのが、これから革新的に普及されると思われる量子コンピューター・量子情報技術である。これらもプログラミングのように基本的マニュアルを覚えて利用することもできなくもないが、しかしこれらを深く理解し切り込んでいくためには物理学における量子力学を知ることは必須だ。しかしこれは現在は大学物理学科2年生か3年生で習うような少し高度なものである。しかし量子コンピューターを理解すると言う目的のために教育の仕方を変えれば、もっと早い段階で教育できるかもしれない。

最後に繰り返しになるが、ブラックボックスのままで扱っているようではコンピューターを理解したことには全くならない。ブラックボックスを全て理解することは専門家でも不可能かもしれないが、しかし1%でも深く理解しようとする姿勢が最も重要になると僕は強く感じている。

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