月別アーカイブ: 1月 2023

コロナ、5類への移行と対策緩和について。

先日、岸田総理はコロナの5類への移行を表明した。確かに現在のコロナの重症化率や死亡率の低下、感染者数の推移を見ればいつかは5類への移行は避けられないだろう。しかし今回の5類移行にはいくつかの問題点も存在する。

一つ目は、僕が何度も言及している「コロナ後遺症問題」だ。重症化率は低くなったとは言え、コロナ感染後の後遺症発生率はこの種の疾病としてはかなりの高確率だ。欧米では後遺症の発生率は8人に一人と言われ、軽い倦怠感レベルでは約半数の人が抱えると言われている。これは単純に一千万人が感染すれば125万人が後遺症に悩まされる計算になる。もちろん後遺症と一口で言っても重症なものから軽いものまで様々だが、これは間違いなく大きな社会問題になる。そして現在のところ、後遺症の決定的な治療法は見つかっていない。なので後遺症の有効な治療法、あるいは薬の開発は最重要課題と言える。

そしてもう一つの懸念は、今後現れる変異株の病原性が低いとは限らないと言うことだ。現在中国では爆発的な感染が広がっている。そして感染者の多さから考えて、いくつかの変異株が発生する可能性が非常に高い。これまでは病原性の高いデルタ株から低いオミクロン株へと病原性が低下する傾向にあった。しかし確率的な問題として、これからも病原性が低下するとは限らない。可能性としては致死率の高い変異株が現れても何もおかしくないのだ。もちろんその可能性はどちらかというと低いと考えられる。しかしそのようなことも想定して政策を進めることが重要なのではないか。

僕の個人的な意見として、現在では確かに2類分類は厳しすぎると考えている。しかしだからと言って、上記したように、後遺症問題、変異株問題を考えると、季節性インフルエンザと同じ分類にするのも違うように思う。もし5類に分類した後に病原性の高い変異株が流入したときはどのような対応をとるのか?そのような想定が一切見えてこない。僕は今後のコロナ政策には柔軟性が一番大事だと考えている。流行が激しい時や病原性の高い変異株が入っていきた時には対策を強める。そして流行が下火になれば緩和する。そのような対応を可能にするためにも、2類や5類とかではなくコロナ独自の「新型コロナ類」を設けるべきだと考えている。そして類別に縛られることなく対策を柔軟に進めるべきだ。

とにかく重症化率が一時的に低下しただけでは、季節性インフルエンザと同じだとは言い難い。そもそも新型コロナは季節性ではなく一年に何度も流行を繰り返す。なので決定的な治療薬や変異株によらないワクチンが開発されるまでは予断を許さないと僕は考えている。

佐藤幹夫・大先生がお亡くなりになられた。

1月16日の夜、Yahooニュースを見て驚いて声をあげてしまった。大数学者の佐藤幹夫先生が亡くなられたというニュースを見たからだ。佐藤先生にはお会いしたことはないが、僕は以前から佐藤先生の理論を応用しようとずっと格闘してきたからだ。

個人的な意見だが、僕は一番偉大な日本人数学者は佐藤幹夫先生だと思っている。これまで3人の日本人数学者が数学のノーベル賞と言われているフィールズ賞を受賞されたが、佐藤先生の業績はこの3人を大きく凌駕する。佐藤先生の業績は数学の中でも非常に多岐にわたっている。その中でもまず言及しなければならないのは、もちろん「佐藤超関数」そしてそれに続く「代数解析」の創始であろう。もちろん、ソリトン理論における佐藤理論も忘れてはならない。これらのどの理論も、世界的な超一級の理論ばかりなのである。

ニュースによると、佐藤先生は94歳だったそうだ。佐藤先生は京都大学数理解析研究所の所長もされていた。そして佐藤先生と言えば、多くの一級の弟子を育てたことでも有名である。柏原正樹教授、河合隆裕教授をはじめ、数学者なら誰もが名前を聞いたことがある数学者ばかりだ。佐藤先生とそれらの弟子たちのグループは京都スクールと言われている。

佐藤先生の理論に取り組んでいる僕としても、やはり一度は佐藤先生にお目にかかりたかった。そして誰が何と言おうと、僕は佐藤幹夫先生が日本人最高の数学者だと断言したい。佐藤先生が亡くなったことは非常に残念だが、94歳という年齢を考えると大往生であり、「お疲れ様」と言うのが一番相応しいのかもしれない。