小保方氏の早稲田大学での博士号が、一年の猶予期間中に論文を再提出できずに取り消されることになった。
博士号を取得するためにはオリジナルな結果(すなわち世界で初めてだという結果)を出すことが求められ、オリジナル論文が論文雑誌(英文ジャーナル)に掲載許可が下りると博士論文提出の許可が与えられる。
数学・理論物理系の場合だと、英文で100ページ程度のものが、博士論文の標準だ。もちろん、オリジナルな結果が求めれれているのだから、既存の結果(自分の出した結果以外)のことをまとめて出すことなど認められない。
最近は博士の就職困難問題が社会問題化している。博士号を取得した後の研究職のポストの枠が非常に小さいのだ。この問題は「高学歴ワーキングプア」とも言われている。そして博士号取得者の自殺が非常に多く、社会問題として表面化はしていないが、非常に深刻な問題となっている。
小保方氏の話に戻るが、小保方氏は虚偽の結果を書き、そして写真を盗用したとされている。僕自身がそのことに真偽の判断を下すことはできないが、それがもし本当だと、真面目に研究に打ち込み、ポストになかなか就けずに苦しんでいるポスドク達をあざけ笑う行為だ。小保方氏の理化学研究所での年棒は一千万円だったという。上手くポストに就けた新米研究者でも、普通はその半分にも満たない。そして多くの研究者は無給で研究員をしている。
このような謎かけがある。
「博士号とかけて足の裏に付いた米粒」ととく。その心は、「取らないと気が済まないけど取っても食えない」
これらの博士の社会問題について、今は僕自身は何も言えない。そして一般の人たちも、博士の問題・高学歴ワーキングプアの問題なんかより、生活保護問題や年金問題の方が興味があるようだ。