火力か?原子力か?

現在、火力発電に頼るべきか?原子力発電に頼るべきか?と言う論争が様々なところでなされている。それぞれ言い分はあるが、全体を見渡すと完全に二分されているように思える。しかし大まかには、現実派には原子力派が多く、理想派には火力派(と言うよりも脱原発派)が多いように感じる。

では火力の問題点は何か?それは言うまでもなく、CO2(二酸化炭素)排出問題であり、化石燃料問題であろう。確かにそれらの問題は深刻だ。場合によっては人類の存亡にもかかわる。善か?悪か?と問われれば間違いなく悪だ。しかし火力が悪だからと言って、原子力にすればよいか、と言うとそんな単純な問題ではない。しかし世間では、「火力が悪だから、現実的に原子力を続けるべきだ」と言う意見が多々聞かれる。しかし悪の対極は善とは限らない。僕がこれまで何度も言った来たように、「善か?悪か?」ではなく、「悪か?最悪か?」と言う問題なのである。僕自身も、火力が悪だとしたら、原子力は最悪だと考えている。

なぜ原子力は最悪なのか?それはよく言われているように、事故の危険性があまりにも高く致命的だからだ。それは福島第一原発事故を見ても明らかだ。よく原発事故が起こる確率は限りなく低いと言われている。しかし、1%の確率で風邪をひくのと1%の確率でガンになるのでは深刻度は全く異なる。それと同じで、例え原発事故の起こる可能性が1%以下だとしても、その1%が限りなく致命的なのである。

そしてもう一つ重要な問題は、核廃棄物の処分問題だ。すなわち発電したのは良いが、それによって出たゴミを処分するところがない(あるいは大幅に不足している)。家庭ごみならば燃やすなり埋めるなり対処の仕方はいろいろあるが、核廃棄物はその性質上、問題なく処分することは限りなく困難だ。そしてそのつけは未来の世代に回ってくる。なので、我々の世代だけ生き延びればいいのならほとんど問題はないが、後世の人達にとっては甚だ迷惑であるだけでなく死活問題である。

結論を言うと、これから二十年、三十年乗り切るだけなら明らかに原発の方がメリットが大きい。しかし未来の世代の事を考えると、原子力と言う選択肢はないはずだ。やはりここでも、「悪か?最悪か?」と決断を迫られたときに迷わず「悪」を選択する事が求められている。

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