月別アーカイブ: 12月 2015

覚悟とプライドのない奴に未来はない

20日、TBSドラマ「下町ロケット」の最終回があった。佃航平(阿部寛)と椎名直之(小泉幸太郎)の白熱した演技、財前道生(吉川晃司)の覚悟を決めた決断は非常にしっかり描かれており、非常に面白いドラマであった。ドラマではいろいろな背景が描かれていたが、その中でも佃航平と財前部長の覚悟とプライドにはドラマとは言え非常に感銘を受けた。

ドラマ中にも出てきた「技術者としてのプライド」、本気で仕事に取り組んでいる人間、何かに人生をかけている人間にとっては非常に感銘を受けてのではないかと思う。プライドは人間を高めるものには必須なものだ。とはいえ、覚悟のないプライドなんかはいらない。「覚悟」のあるプライドが本当に重要なのだ。

プライドは何も仕事に関してだけではない。「人間としてのプライド」、これは全ての人間が持つべきだと思う。人間としてのプライドのない奴に未来はない。苦しい時にはプライドを捨ててでもという時もあるであろう。生きるためには時にはプライドを捨てなければならない時もあるかもしれない。しかし楽をするためにプライドを捨てるようなことがあってはならない。

また難しいことには、プライドに凝り固まってもいけない。とあるシンガーソングライターの歌に「握りこぶしの中にしまっておいた勇気と、わずかなプライド」というものがある。それを持ってこそ、人間として輝いていけるのだ。

僕も非常にプライドの高い人間だ。早くそのプライドに見合うだけの人間にならなければと常々思っている。

 

ランキングでいつも北欧が上位にくる不思議

発展途上国支援ランキングというのを見た。

1位デンマーク

2位スウェーデン

3位ノルウェー

4位フィンランド

4位オランダ

上位五か国が全て北欧なのである。べつに北欧のしていることを否定しようとは全く思わない。確かに北欧は素晴らしいことが多い国であろう。しかし明確に数値で現れない、あらゆるランキングで北欧は上位に評価される。そのことに僕はいつも違和感を感じる。もちろん北欧の国には何も罪もないのであるが。

例えば住民の住みやすさ。北欧は福祉大国だと言われている。確かにそれはそうだ。医療、学校などの料金は非常に低い。しかしその一方、非常に高税率であることが知られている。消費税などは日本の約三倍、20%以上だ。このことは、入り口で払うか、出口で払うかの違いに過ぎないとも考えられる。どちらがいいかとは判断できないことだ。

それから私感だが、ランキングに北欧が上位にきているというより、北欧が評価されるようなランキングシステムになっているように感じる。

繰り返し言うが、北欧を否定しようという気は全くない。北欧の素晴らしいところはどんどんと見習えばいい。しかし、日本にも世界で高く評価されるシステム文化はたくさんあるはずだ。

ちなみに冒頭のランキング、最下位は日本である。

8年間の橋下施政に幕

18日、大阪府・市における8年間に及ぶ橋下施政に幕が下りた。良くも悪くも何かと注目を浴び続け、これほど目立った政治家も珍しいのではないか。僕個人的には橋下氏の政治手腕は素晴らしいものであったと思う。もちろん細かい政策を見ていけば、欠点もあることだろう。しかし何もしないで良点も欠点もない無色透明の政治家よりも、常に前に進み続け、ばく進とも言える行動力に富んだ橋下氏の政治は魅力的であった。

橋下氏の政治は「橋下劇場」と言われ、小泉純一郎元首相の時にも話題になった劇場型政治の典型であるが、これだけ橋下氏が支持を集めた大きな理由は、個人の利益を無視したことではないかと思う。某号泣議員に代表されるような個人の私腹を肥やす政治家が話題になる中、橋下氏は自分の立場に安住することはなかった。

施政者を批判的に見ることは非常に大事な事であり、橋下氏や国家元首の安倍首相の施政を批判的に見ることは大切かもしれないが、僕はトップに立って施政する橋下氏や安倍氏を基本的に支持したいと思う。野党議員が批判するようなことを言うのは簡単だ。しかし実際に舵を取っているのは大阪では橋下氏であり、国家では安倍氏である。もちろん独裁者のような反国民的な元首ならば論外だが、橋下氏も安倍氏も地域・国家のために仕事をしている。もちろん最近政府が決定した高齢者・障がい者への3万円ばら撒きのような安直な政策には安倍首相に対してと言えども僕は怒り心頭である。しかし野党からこの政策に大きく反対する声はあまり聞こえてこない。野党にも自分の身分に安住せずに真っ向から向かっていくような政治家が出てきてほしいが、残念ながら現在そのようなリーダーシップのある野党政治家はいない。結局現時点では消去法で考えても安倍政権に期待せざる負えないのである。

話は橋下氏に戻るが、橋下氏は政界引退を表明しているが、これをまともにとらえる市民はいないだろう。現に橋下氏本人も、国政で5年以内に政権を取ると宣言している。もしそのようなことが現実味を帯びれば、強者自民党と橋下勢力の対決が非常に楽しみである。

産経新聞記者に対する韓国・朴大統領への名誉毀損、無罪判決が下る

17日、韓国・朴クネ大統領への名誉毀損で韓国検察に訴えられていた、産経新聞加藤達也前ソウル支局長に対する判決がソウル中央地裁で行われ、無罪判決が言い渡された。事前の予想では無罪は厳しいのではないかと思われていたが、大方の予想を覆す判決となった。

この判決は日韓関係にも大きな影響を与えると言われているが、今回の判決は日本の勝利という以上に韓国民主主義における言論の自由の勝利という意味合いが大きいだろう。この裁判の勝利者は、産経新聞、そして韓国国民だと言える。敗者はもちろん韓国検察、そして朴大統領である。

韓国検察がこの件を起訴したのは朴大統領の顔色をうかがってのことと言われているが、韓国の民主主義と言論の自由を考えると、朴氏自身がこの起訴を取り下げるべきであったであろう。起訴を取り下げなかった朴氏は、韓国民主主義の黒歴史を作ったと言える。

この判決は地裁での判決なので、上級裁判所へ上告される可能性があるが、もし韓国に、そして韓国検察に民主主義的良心があるのならば上告は絶対に避けてほしいものである。

この裁判のきっかけになったのは、セウォル号事故当時の朴氏の何時間にわたる行動不明であった。言うまでもなく朴氏は公人中の公人であり、朴氏が事故時に何をしていたかという情報は明らかに公的情報であり、韓国国民は知る権利があるというどころか、知らなければいけない情報であると言える。産経新聞が不確定な情報を出したということは確かだが、その原因は朴氏の不確定な行動情報にある。産経新聞を訴える前に朴氏側は事故当時の大統領の正確な行動情報を明らかにする義務がある。しかし一年以上たった今でも朴氏の当時の行動情報は明らかにされていない。

今回の裁判は、判決の内容以前に、このような事象が起訴されること自体が韓国の民主主義の後進性をさらすものであって、無罪判決によってかろうじて面目が保たれたと言える。

宇宙飛行士・油井亀美也さんの話から

16日、テレビを観ていたら宇宙飛行士の油井亀美也さんのインタビューが流れていた。油井亀美也さんは宇宙ステーション長期滞在から最近地上に帰ったばかりだが、インタビューは油井さんがまだ宇宙にいたころのものだ。その中で気になるコメントがあった。油井さんは宇宙飛行士になる前までは、航空自衛隊のパイロットであった。そこで最近何かと問題になっているロシアに関しての質問に、油井さんはこう答えていた。

「自衛隊時代はロシアについては悪い話ばかり聞かされていたので、宇宙飛行士の訓練でロシアに行ったときには本当に大丈夫かすごく不安だった。」

国際情勢に公平で敏感でなければならない自衛隊だが、現場の自衛隊員には共産陣営など日米に対立する陣営に対しては、敵対意識を持たすために悪いイメージを植え付けていたのであろうか。もちろん防衛相首脳陣にはそんな偏ったイメージを持った者は少ないとは思うが、最前線で活動する隊員にはある種の洗脳とも言えることが行われているみたいだ。

そして話は少し変わり、地上で国家が対立・紛争を起こしていることについて、(油井さんか若田さんのどちらが話していたのか忘れたが)「地上にいない人間は我々(宇宙飛行士)6人だけなんだ」と話していたのがなかなか面白かった。宇宙にいると国家や国籍・人種などは全く関係なく、みんな非常に友好的なのだそうだ。そうでないと狭い宇宙ステーションの中で共存などできないのかもしれない。

日本は宇宙でも非常に大きな貢献している。アメリカ・ロシアの大国にはできない、日本にしかできないこともたくさんあるという。現在、IS関連の紛争をはじめ、地上では紛争が多発している。宇宙に行った人には宇宙から見た者しか見えない視点があるのかもしれない。もしかしたら宇宙の人たちはそれらの紛争の解決に一役買ってくれるかもしれないと期待している。

日本人はもっと近・現代史を知らなければならない

日本人は日本近・現代史をどれだけ知っているだろうか。もちろん小学校から高校まで「日本史」という形で繰り返し歴史が教えられる。しかし問題なのが、日本史の授業で扱う近・現代史は授業末期に登場し、ほとんど駆け足で教えられ軽視されていることだ。そのことに危惧した安倍首相らは、これからの日本史教育で近・現代史をもっと重点的に扱おうという政策を打ち出している。

日本近・現代史は、明治維新によって始まったと言っていいだろう。もちろん歴史は継続的であり、江戸時代以前の歴史の流れから明治に移行したことは明白だ。しかし江戸と明治の間には明らかな断層がある。大政奉還とペリー提督による開国だ。特に現代の政治経済の原点は明治維新だと言っても過言ではない。しかし、戦国時代に詳しい少年少女が多くても、近現代、特に太平洋戦争後の昭和の歴史が好きだという少年少女はあまり耳にしない。学校での歴史授業でも軽視されがちだ。

当たり前のことだが、現在の日本に影響を与える度合いは、現在に近い歴史である。したがって現在の日本を知るためには、近現代史、特に戦後昭和の歴史を熟知することは必須だ。政治では55年体制、経済では朝鮮戦争による特需、一言で済ませばそれが現在の日本政治経済の原点だ。もちろん55年体制も朝鮮戦争特需も学校で習う。しかしそれが歴史の流れの中でちゃんととらえられているか、点になっていないか、歴史教育者はそれを常に意識しなければならない。55年体制が流れの中でとらえられていれば、55年体制崩壊に始まる現在の政治的変遷も理解できる。

最近、歴史問題と言えば、中国韓国関連のものが非常に話題になっているが、それを正確に知るためにも日本近現代史のしっかりした理解(内からの理解)と第二次世界大戦後の世界近現代史(外からの理解)の両方が必要だ。内堀と外堀を同時に埋めていかなければならない。

以上、いろいろ書いてみたが、僕が一番言いたいことは、「近現代史は面白い」そして「現在の社会を知るためには近現代史を知ることは必須である」ということである。

物事の本質が全く見えていない、米共和党大統領候補トランプ氏

12月5日、ロンドンの地下鉄でISに同調する者による襲撃事件が起きた。襲撃者は「シリアと同胞のためだ」と叫んだが、被害者の通行人(この方はイスラム教徒ではない)は「お前のようなやつはムスリム(イスラム教徒)ではない」と言い放ったという。この被害者の通行人の言葉は、非常に本質を突いた言葉である。英キャメロン首相も、これは的を得た言葉だと非常に称賛している。

それに対して対照的なのが、アメリカの共和党大統領候補のトランプ氏だ。彼は最近のIS関連のテロを受けて、「アメリカからイスラム教徒を排除する」という趣旨の発言をしている。あまりにも短絡すぎる発言で、これが大統領候補の発言かと空いた口がふさがらない。しかしこのようなトランプ氏の単純で刺激的な言葉はアメリカ国民には受けが良いようで、トランプ氏は支持率を上げている。

もちろん、イスラム教徒を排除したところで、何の本質的な解決にもならない。こんなことをしたところで、ISを刺激し同調者を増やすだけで、困難を拡大するだけだ。トランプ氏には物事の本質というものが全く見えていない。もしこんな人物が米大統領になれば、アメリカの、いや世界の恥だ。

トランプ氏は実業家としては有能なのかもしれない。しかし政治家としての資質は全くなく無能だと言わざる負えない。ただ、刺激的な言葉を発して国民から注目を浴びる事だけは上手いのかもしれない。もし万が一、こんな人物がアメリカの大統領になったらと思うとぞっとする。アメリカ国民の賢い選択に期待しよう。

補正予算に3兆円超。その使い道に憤りを覚える

補正予算に3兆円超のお金が繰り込まれるという。しかしこの金額はともかく、その使い道に非常に憤りを覚える。使い道の何に対して憤りを覚えるか。

この補正予算を受けて、65歳以上の低所得者高齢者に対して3万円の給付金を与えるという。言い方を変えれば典型的なばらまきだ。高齢者政策に対して使うにしても、例えば老人ホームの充実化をはかる、障がい者政策につぎ込むなど、持続的な計画に対して補助を出すとかなら非常に納得できる。なぜならそれは後々国家の財産になるからだ。しかし一時的に三万円を給付するなどは、本当に一時的な目先の小遣いみたいなものでわずかなメリットもない。政府自民党が高齢者から興味を少しひくくらいでしかない。

それから65歳以上の高齢者限定であるが、若者でも中年でも低所得者は等しく厳しい。政府自民党は高齢者に優しい政策をしているつもりであろうが、3万円のばらまきなど循環的な効果は期待できないし、生活に厳しい若者・中年を見捨てるような政策である。

そしてこの高齢者限定の政策は、若者が選挙に行かないという理由があるにしろ、若者の間で循環的な政治不信を招くものである。このような政策を実行するようでは、少子高齢化の解決など全く期待できない。政府自民党のしていることは自己矛盾に陥っているのである。

安倍首相は国際関係に関して非常に大きな仕事を成し遂げているとは(僕個人的には)思うが、肝心な国内の足元がおろそかになっているのではないか。こんなことをしていると本当に足元をすくわれるかも知れない。

核融合実験に成功。新たなエネルギー供給源になるか

10日、ドイツのマックスプランク研究所の研究チームが、ヘリウムの核融合反応実験に成功したと発表した。とはいえまだ初期段階で、成功した核融合状態の持続時間は0.1秒だという。しかし短時間であってもできるとできないでは大違いだ。今回の実験成功は非常に大きな成果である。将来的には30分の持続時間を目指すという。30分持続できれば商用応用化への展望が開けるという。

では核融合とは何か?一言で言うと核分裂の逆反応である。原子力などの核分裂はウランが分解することによってエネルギーを得る。しかし核融合は原子が合体することによってエネルギーを得る。身近な例は、太陽である。太陽では水素の核融合反応によってヘリウムが生成されている。その時に発生するエネルギーが我々の地球に届いているのである。

核融合では放射性廃棄物が出ないなど、原子力に比べて大きなメリットがある。そして燃料である水素はいたるところにある非常に豊富な物質だ。しかし技術的には原子力をはるかにしのぐ難しさがある。核融合炉は人工の太陽だと言われている。

現在、高速増殖炉もんじゅの存在意義が非常に問われ、もんじゅは廃炉の危機を迎えている。もんじゅのプロジェクトは失敗であると言える。夢の炉と言われたもんじゅに取って代わって、これからは核融合炉に力を入れてくることだろう。どこの国が最初に核融合炉の実用化にたどり着くか、世界で激しい競争が行われることが予想される。

インドでの高速鉄道計画、日本の新幹線方式が正式決定。安倍首相のインド訪問で

インドでの高速鉄道計画に、日本の新幹線方式が採用される見通しだ。12日の安倍首相とインド・モディ首相との会談で正式決定する。日本の新幹線輸出は、台湾に続いて二例目になる。インドネシアでの高速鉄道受注では中国に敗れたが、何とか盛り返した形だ。

日本の新幹線の技術・システムは非常にハイスペックだ。しかしインドネシアの受注競争ではそのハイスペックさがアダになった。インドネシアにすれば、過剰な安全システム、過剰な走行速度よりも、それなりのものを非常に安くで作ってくれる方がありがたいのだ。全てのことにおいて過剰なスペックを求める、特に安全面に関しては完璧さを求める日本人には理解しづらいかもしれない。しかしインドネシアの国内事情を考えると、インドネシアの選択は当然ともいえる。これは何も金銭面だけのことではない。治安面でも不安を抱えるインドネシアで、大金を投じて異常な安全面を誇る新幹線を投入する意義がどこにあるのだろうか。新幹線に投じるような大金があれば、治安向上にそのお金を投資したほうがより安全な国家が作れる。新幹線に大金を投じても、安全なのは新幹線の車内だけで、新幹線車両から一歩出ると治安が失われるということになりかねない。

しかし今回、インドは日本の新幹線を選んでくれた。日本人にとっては非常に喜ばしいことだ。新幹線を通じて安全面を求める姿勢を打ち出せば、新幹線の車内から出ても治安が良い国家になるという社会を作る、そんな一歩になるはずだ。日本にとっても、新幹線を採用してくれたインドに対し、あらゆる面に対して支援する方向に向かうだろう。

いま、世界で高速鉄道計画ブームが起こっている。日本のライバルはフランス・ドイツ・中国だ。スペックだけ見れば日本は断トツである。しかしインドネシアの件でもわかったように、高速鉄道計画には国内情勢・政治事情が複雑に絡んでくる。そして日本もそれに対処しようと首相をトップとするオールジャパン体制を築いている。これからの世界での受注争いで健闘することを期待する。