キーワードを提示されていると何かと便利だ。数学の論文にも最初にキーワードが提示されているものがあり、そのキーワードを見ると本文に何が書かれているか大まかな内容が想像できる。それだけに、キーワードを提示する人は慎重に吟味しなければならない。
そして大事なのは、キーワードは本質を突いていなければならないということだ。逆に言うと、本質でないものはキーワードではない。これは当たり前の話で、キーワードの「キー」という言葉は言うまでもなく「鍵」ということなので、鍵になっていないキーワードなどありえない。そしてキーワードは複数個あっても良いが、少数でそれらを連立すると全体像が見えるものでなければならない。
なぜここでキーワードのことを書いたのか?それは数学に関して思い描くことがあって、そこでキーワードになるのが三つの言葉である事を痛感したからである。どのような分野にも構造が存在する(と思われる)。その構造とはどのような構造なのか?それを一言で表したのがキーワードだ。それらの事は、数学に限らず、哲学、文学、歴史など、あらゆる分野に対して言えることだろう。そしてそれらに対して提示されているキーワードの本質を理解した時、その分野の70%を理解できたと言える。残りの30%はそれらの組み合わせである。
キーワードがあると便利でわかりやすい。しかしだからと言って、キーワードを簡単に理解できる訳ではない。キーワードは本質であるからこそ、本質を理解しないとキーワードを理解できない。キーワードを見て中身の概観を知って、そして中身を見てキーワードの本質を知る。すなわち入口はキーワードであって、出口もキーワードであるということなのである。