勝負に敗れた時、その敗因を分析しようとする。分析することは確かに重要だ。しかし分析をどれだけしても解決しないこともある。例えばスポーツで敗れた時にもその原因を分析しようとするであろう。しかし自分の力を強くしないと根本的解決にはならない。分析三割、実行七割というのが原則であろう。
21日、統一地方選挙及び衆院補選があった。衆院の二つの補選では両方で自民党が敗れることになった。安倍政権の下で圧倒的な強さを誇った自民党であったが、今回の敗戦にはそのほころびが見える。二階幹事長は「敗因分析を急ぐ」と言っているそうだが、僕にはこの敗戦が分析によって解決するかといえば疑問に思う。なぜなら、分析によって解決するのは下層部への問題であって、より上部の問題に対しては分析だけで簡単に解決できるものではないからだ。
敗因分析以上の効果をもたらすのは、根本的理念の変革、及び根本的制度の変革である。しかしこれらの改革は大きな効果をもたらす可能性がある一方、大打撃を与える可能性もある。諸刃の剣である。理念に関してはそう簡単に変えるべきものではないし、その理念を貫き通すことによって信用も生まれる。今回の敗戦に関しても、理念の変更が大きな原因になったとは僕は考えてはいない。むしろ根本的制度の改革が裏目に出たのではと考えている。もちろん、社会的制度の変革などもあるが、一番大きなのは自民党総裁任期の変更であろう。もちろん、これ以外にもいろいろと原因はあるかもしれない。しかし次期参院選までに立て直すのは至難の業であろう。さらに分析だけで乗り切ろうと思えば、これは不可能だと言わざるを得ない。
自民党が次期参院選で立て直すには、分析以外の取り組みが鍵になって来る。特にインパクトのある標語的な政策を打ち出すのなら、それは次期参院選では効果的かもしれないが、持続性という観点で見れば賢い策とは思えない。もちろん、外的要因によって情勢が大きく変わる可能性もなくはない。これから政府与党がどのような動きに出るのか、注目してみたい。