勤務医の過労問題について

最近、過労から鬱になり自殺した勤務医に対する賠償裁判が続いている。病院側と上司の医師に対しての責任問題が問われているのだ。この裁判では病院側の勤務管理に対する問題、さらに上司の医師からのパワハラがあったことが明らかになっている。

勤務医・研修医の実態は非常に苛酷だ。通常勤務を終え当直勤務そして通常勤務と30時間以上の連続勤務が日常茶飯事であるらしい。通常の企業ならちょっとしたテコ入れで改善できるものだが、医師という仕事の性格上、24時間の患者受け入れは避けられないし、人材不足だからと言って簡単に増やせる職業でもない。

さらに一般市民の意識の問題もある。医師は聖職とみなされることも多く、人の命を預かることから患者側からすれば診てもらって当然という意識がある。しかし医師も患者と同じ人間である。人間らしい最低限のゆとりを持てるようにしなければいけない。

またもう一つ問題なのは、医師団体の理事十数人中、勤務医は一人だけであるということである。それも最近になって勤務医枠が設けられたらしい。

人を助ける職業である医師が過労で死んでは元も子もない。さらにそれらの問題は診療の質にも関わってくる。これらの問題は国全体が取り組まなければいけない問題だが、われわれ国民一人ひとりも「聖職者だから何でもやってもらって当然」というような奉仕を求めるような態度ではなく、医師一人ひとりに対して尊重と感謝の念を持たなければいけない。

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